3.受け身の「る」「らる」

意味

  「る」ー受身・自発・可能・尊敬

  「らる」ー受身・自発・可能・尊敬

  受身(される)ー吹かるる/吹き寄せられ

  自発(自然と・・・される、・・・してしまう)ー思はる/忘れらる

  可能(・・・れる、・・・できる)ー眠らず/捨てられ

  尊敬(・・・なさる、・・・される)ー許されよ

 

「る」の活用(下二段)

  未然形:れ ず
  連用形:れ て
  終止形:る 
  連体形:るる とき
  已然形:るれ ど
  命令形:れよ

「らる」の活用(下二段)

  未然形:られ ず
  連用形:られ て
  終止形:らる 
  連体形:らるる とき
  已然形:らるれ ど
  命令形:られよ

接続

  「る」は、四段・ラ変・ナ変の未然形に接続

  「らる」は、「四段・ラ変・ナ変」以外のの未然形に接続

 

「る」の例句

  近山の桜吹雪に眠らず   細見綾子(眠りにつけない:可能)

  花びらの掃かるる音は知らけり   斎藤玄(自然と知られてしまう:自発)

  藁塚に一つの強き棒挿さ   平畑静塔(挿される:受身)

  でで虫が桑で吹かるる秋の風   細見綾子(吹かれる:受身)

  忘咲ゆびささるれば在りしかな   阿波野青畝(ゆびさされると:受身)

  波郷忌のせかせか参り許されよ   八木林之助(お許しください:尊敬)

「らる」の例句

  逢いし日のこの古暦捨てられず   稲垣きくの(捨てられない:可能)

  春寒や吹き寄せられて遊女墓   増田守(吹き寄せられて:受身)

  溶接の地にこぼす火は忘れらる   林田紀音夫(自然に忘れられてしまう:自発)

  風花を言葉優しく告げらるる   村越化石(告げられることだなあ:受身)