11.断定の「なり」「たり」

意味

  「なり」ー断定・所在

    断定ー・・・である、・・・だ

    所在ー・・・にある、・・・にいる

 

  「たり」ー断定

    断定ー・・・である、・・・だ

 

「なり」の活用

  未然形:なら ず
  連用形:なり/に て
  終止形:なり 
  連体形:なる とき
  已然形:なれ ど
  命令形:なれ

「たり」の活用

  未然形:たら ず
  連用形:たり/と て
  終止形:たり 
  連体形:たる とき
  已然形:たれ ど
  命令形:たれ

 

 

接続

  「なり」は、体言や連体形に接続

  「たり」は、体言に接続

 

 

「なり」の例句

  尻立てて蜷の歩みしならむ   大石悦子(なのだろう:断定)

  外套の裏はなりき明治の雪   山口青邨(であった:断定)

  高尾なる雲の渦見ゆ栗の花   水原秋櫻子(にある:所在)

  古家のキヽキヽと鳴るや籐椅子鳴るや   高浜虚子(なるのであろうか:断定)

  はるかより躍り来るなり簗の水   岡田耿陽(来るのである:断定)

  開きたる傘のなる卯波かな   波多野爽波(にある:所在)

  いと古りし毛布なれども手離さず   松本たかし(であるけれども:断定)

 

「たり」の例句

  悪女たらむ氷ことごとく割り歩む   山田みづえ(であるつもりだ:断定)

  野遊びの皆伏し彼等たりき   西東三鬼(であった:断定)

  生涯をたるを得ず夏暖簾   鈴木真砂女(である:断定)