2.格助詞「に」「へ」「を」

格助詞の「に」「へ」の比較

 比較1

  海に(に=場所ー「・・・で」、「・・・に」)

     海降る雪美しや雛飾る   小林廣治

  海へ(へ=方向ー「・・・の方に」「・・・に向かって」)

     海去る水はるかなり金魚玉   三橋敏雄

 比較2

  海に(に=帰着点ー「・・・に」場所のニュアンス)

     海出て木枯帰るところなし   山口誓子

  海へ(へ=帰着点ー「・・・に」方向のニュアンス)

     海出て帰る燕となりにけり   細川加賀

 

格助詞の「を」

  海を(を=動作の起点、経過点ー「・・・を」「・・・から」)

     知床の海流るる氷かな   今井杏太郎

 

格助詞の「に」

  摘みに出て(に=動作や作用の目的ー「・・・のために」)

     山椒の芽を摘み出て門灯す   西村和子

  畳みに畳みたる(に=強意ー「どんどん」「ひたすら」)

     臥龍梅磴は畳み畳みたる   阿波野青畝