3.切れ字「けり」

切れ字「けり」を使った芭蕉の俳句

芭蕉全句(上)

     雲霧の暫時百景を尽くしけり

     霜を踏んでちんばひくまで送りけり

     旅烏古巣は梅に成りにけり

     猫の妻竃(へつい)の崩れより通ひけり

     道の辺の木槿(むくがげ)は馬に食われけり

     世にさかる花にも念仏申しけり

芭蕉全句(中)

     月のみか雨に相撲もなかりけり

     行く春を近江の人と惜しみける<連体形の余韻>

芭蕉全句(下)

     秋の色糠味噌壺もなかりけり

     幾秋のせまりて芥子の隠れけり

     夷講酢売りに袴着せにけり

     秋海棠西瓜の色に咲きにけり

     春の夜は桜に明けてしまひけり

     夕顔に干瓢?いて遊びけり