五七五の定型と字余り

上五(かみご)・中七(なかしち)・下五(しもご:あるいは座五ざご)が俳句の基本形(定型)です。これは仮名文字数ではなく、「音節」で数えるのが妥当です。つまり、拗音(小文字のやゆよわ)の場合、一音節を形成するので、文字数は二文字ですが、一音とみなします。たとえば「しゃ しゅ しょ」は、英語の発音記号で表現すると、「sya syu syo」のように1音節なので、1音と数えますす。「しゃか」は、「sya-ka」なので2音節です。

定型俳句の場合、五・七・五の音節を定型としますが、五の部分が6音以上に、または七の部分が8音以上になることを字余りといいます。たとえば、「仏生会(ぶっしょうえ)」は、「ぶっしょうえ」の六文字ではなく、拗音を使う「しょ」を一音「syo」と数え、五音節と数えます。つまり、字余りではありません。上五・下五の部分で、「仏性会(ぶっしょうえ)へ」のように、六音となった場合に字余りとなります。

拗音で字余りにならない例
   ぬかづけばわれも善女や仏生会   久女
この句を声を出して詠んだ時、仏生会の部分に「字余り」という感覚はないと思います。また、「 われも善女や」の部分も七音感覚だと思います。

水原秋桜子は、「字余り」について下記のように言っています。(「俳句観賞辞典」)

字余りの表現(破調)は、適当の言葉が見つからぬため、仕方がないから字余りにしたというのはいけないので、字余りにしたために句のおもしろさが増す場合だけに使われるのであります。