貞門風の俳句

笑いを呼びだす発想の契機になるものが、常にことばのおかしさだというように、

ことばの上でのおかしみを構成する俳句。

貞門の祖、松永貞徳の中世的貴族的な文芸観の上に立つ。

発想の契機になるものは、当時の人々の間に無言のうちに約束されている俳諧味、

つまり「俳言による笑い」であってそれにどれだけうまく合致するかが興味の中心であった。

実感を伴う詩的表現はほとんどない。

 

きてもみよ甚べが羽織花衣   芭蕉

(きても:「着ても」、「来ても」の掛詞)

(参照:加藤楸邨「芭蕉全句上」)