5.打消しの「ず」

意味

  「ず」ー打消しー「・・・ない」

  死なずー死なない/思はずー思わない

 

「ず」の活用1

  未然形:〇 ず
  連用形:ず て
  終止形:ず 
  連体形:ぬ とき
  已然形:ね ど
  命令形:〇

「ず」の活用2

  未然形:ざら ず
  連用形:ざり て
  終止形:〇 
  連体形:ざる とき
  已然形:ざれ ど
  命令形:ざれ

接続

  「ず」は、活用語の未然形に接続

 

「ず」の例句

  紙子着てゐるとは誰も知らざらむ   加藤楸邨(知らないだろう)

  てんと虫一兵われの死なざりし   安住敦(死ななかったなあ)

  吊るされし荒巻の歯のかみ合は   若井新一(かみ合わない)

  寒凪やなかなか消え汽車の尻   飴山實(消えない)

  告げざる愛雪嶺はまた雪かさね   上田五千石(告げない)

  甚平や一誌持たば仰がれず   草間時彦(持たないと)

  菩提子をひろふ念珠に足らざれど   片山由美子(足りないけれど)

 

打消しの助動詞「ず」の連体形「ぬ」は、未然形に接続し、体言につながる。

  白玉は何処へも行かと食ぶ   轡田進

官僚の助動詞「ぬ」の終止形「ぬ」は、連用形に接続し、言い切る。

  春の雲一村暗くして行き   佃悦夫