8.推量・当然の「べし」

意味

  「べし」ー推量・意志・可能・当然・命令・適当/勧誘

  推量ー「きっと・・・だろう」

  意志ー「・・・しよう」「・・・するつもりだ」

  可能ー「・・・できる」「・・・できそうだ」

  当然ー「・・・はずだ」「当然・・・すべきだ」

  命令ー「・・・せよ」

  適当/勧誘ー「・・・のがよい」「・・・のが適当である」

 

「べし」の活用1

  未然形:〇 ず
  連用形:べく て
  終止形:べし 
  連体形:べき とき
  已然形:べけれ ど
  命令形:〇

「べし」の活用2

  未然形:べから ず
  連用形:べかり て
  終止形:〇 
  連体形:べかる とき
  已然形:〇 ど
  命令形:〇

 

接続

  「べし」は、ラ変は連体形に接続

  「べし」は、ラ変以外は活用語の終止形に接続

  (「まじ」の上には、ウ段音が来る)

 

「べし」の例句

  大夕焼け消えなば夫の帰るべし  石橋秀野(きっと帰るだろう:推量)

  行々子殿に一筆申すべく   波多野爽波(申そう:意志)

  逢ひ別るべく来て冬の虹淡し   小林康治(別れよう:意志)

  初富士を隠さふべしや深庇   阿波野青畝(いくども隠すことができそうだ:可能)

  鰯雲人に告ぐべきことならず   加藤楸邨(告げるべき:当然)

  花は葉に人はしづかに読むべかり   下村梅子(読むべきだ:当然)

  茄子の花巧言令色滅ぶべし   沢木欣一(滅ぶべきである、滅ぶに違いない:当然)

  邯鄲の冷たき脚を思ふべし   長谷川櫂(思いなさい:命令)

  鞦韆は漕ぐべし愛は奪ふべし   三好鷹女(漕ぎなさい、奪いなさい:命令)

  鶏頭の十四五本もありぬべし  正岡子規(きっとあるだろう:推量)

  この梅に牛も初音と鳴きつべし  松尾芭蕉(きっとなくだろう:推量)

  山吹や笠に指すべき枝の形  松尾芭蕉(指すのによい:適当)

  梅雨の川こころ置くべき場とてなし  飯田龍太(置くのがよい:適当)

  返すべき鍵が小箱に星祭  片山由美子(当然、返すべき:当然)