3.格助詞「して」「にて」「と」「より」

格助詞の「して」ー体言・活用語の連体形に接続

  二人して(して=動作の相手ー「・・・で」、「・・・とともに」)

     二人してしづかに泉にごしけり   川崎展宏

  手して(して=手段・材料ー「・・・で」「・・・でもって」)

     凩や手して塗りたる窓の泥   村上鬼城

 

格助詞の「にて」ー体言に接続

  女体にて(にて=手段・方法ー「・・・で」)

     窓の雪女体にて湯をあふれしむ   桂信子

 

格助詞の「と」ー体言・活用語の連体形に接続

  ・・・と(と=共同の動作の相手・比較の基準・変化の結果・引用・並列・強調ー「・・・と」)

     冬日濃しなべて生きし生けるもの   高浜虚子(強意「・・・ものはすべて」)

     妻病みて髪切虫が鳴く言ふ   加倉井秋を(引用「・・・と」)

     亡き人の湯呑春の大空   磐田由美(並列「・・・と」)

 

格助詞の「より」

  崩れより(より=経由ー「・・・を通って」「・・・を」)

     猫の妻へついの崩れより通りけり   松尾芭蕉

  落るより飛ぶ(より=即時ー「・・・するいやいなや」「・・・するとすぐに」)

     草の葉を落るより飛ぶ蛍かな   松尾芭蕉

  推古より(より=時や動作の起点」ー「・・・から」「・・・より」)

     玉虫の羽の緑は推古より   山口青邨